ゼネコン・サブコン様における熟練技術者不足の問題を解決する会社

[技術力]

20年にわたる大手ゼネコンでの現場監督と実務経験を生かし、業界の効率化を可能にした革新的なシステムを開発・販売する上嶋社長。業界の諸問題を解決し、社会貢献を第一に考える、崇高なビジネスマインドに迫る。

写真/片桐圭 文/井上真規子(verb)

 都心には高層ビルが立ち並び、建築物の進化は日夜進んでいるが、建築業界の実務作業はまだまだアナログである。
 上嶋社長は、(株)竹中工務店で現場監督 10 年を含む実務経験 20 年の実績を持つ建築のプロ。現場監督として長く現場を仕切るうちに、大量の実務作業や企業としての利益構造の体系化について疑問を感じ、それらの諸問題を解決するシステムつくりを使命に起業へ踏み切った。
「残業や休日出勤で対応してきた業界ですが、ワーク・ライフ・バランスが謳われる現代において、そのやり方は通用しなくなっています。また少子高齢化やベテランの相次ぐ退職により、建設業界は 2002 年頃から深刻な人手不足。効率化できる部分には誰でも使えるシステムで対応し、プロでなければできないことはプロがやる、という構造にしていくべきなんです」
 現在、同社で製品化が決まっているのが、自身が発明者でもある特許「見積装置及び見積りプログラム」を活用した 3DCAD から見積書を作成する「BI For Archi」と、360 度カメラを活用した「RobotEyeWalker4D」。
「BI For Archi」は、上嶋社長が作業所時代に一番苦労したという“お金のやりとり”を効率化するシステムだ。
  建設の発注を受けたら建設会社はまず客に対して請負金額を算出するが、先方から必ず追加変更が入るため、追加増減明細見積書が必要となる。追加変更は何度も入るため、作成に非常に手間がかかるこの見積書も何度もつくらなくてはいけない。この煩雑な作業を効率化してくれるシステムというわけだ。
「新築工事および、改修工事などのクライアントのニーズに随時対応する、計画変更に伴う請負金額の算出作業は、積算ソフトを使っても図面が変わるたびに手作業で入力し直すのが常識でした。「BI For Archi」があれば、図面の変更と連動して金額が算出されるため大幅な手間を省くことが可能になり、結果として働く人の負担を減らすことができます」 
  また、(株)岩根研究所と共同開発である、既存の建物の図面および 360° 映像を作成する「RobotEyeWalker4D」は、映像とレーザーを融合させることで、高い精度の図面作成や全周囲映像が確認できる革新的なシステム。
 改修作業では、現状の正しい図面と現地の確認作業がなければ見積りミスに直結する。ゆえにこれまでは写真と図面を照らしあわせ、工事の時に再測量を行っていた。この膨大かつ煩雑な作業も一遍に解消できるようになったのだ。
「独立には多くの苦労がありましたが、前職時代からの強い信頼関係を築いてきた協力会社の方々からたくさんの支援をいただき、ここまでこぎつけることができました。これからも、周囲の方々の協力のもと、現場で苦労した経験を生かしてシステムを開発し、社会貢献していきたいと思っています」
「Robot Eye Walker 4D」 360°映像とレーザー計測を融合した技術により、既存の建物の図面を精密に作成することができる。

この人に聞きたい5つの質問

Q.起業家・経営者になったきっかけを教えて下さい。
大手ゼネコンに20年間在籍して得た、経験と高い技術力を武器に、自分しかできない商品をつくり、技術サービスで社会貢献をしたいと感じたからです。
Q.貴社の強み、特徴を教えて下さい。
高い技術力と豊富な経験を生かした提案力です。また、技術パートナー会社と共に、世界でも真似することのできない商品・サービスの提供を実践できる環境にあることです。
Q.経営理念について教えて下さい。
最良の技術サービスを世に提供し、社会に貢献することです。
Q.日常生活で大切にしていることを教えて下さい。
健康のために、高校時代から継続している「テニス」。業務多忙のため、時間をうまく見つけて、心身共にリフレッシュすることが大切な日課になっています。また、家族を最も大切にし、オンとオフの切り替えをはっきりさせて、ストレスフリーな状態を継続させることです。
Q.ご自身の強みを教えて下さい。
やりたいことだけに集中し、エネルギーを効率よく発揮できること。また、多くの方々から応援していただける絆をもっていることです。

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